2019/01/01CKD(慢性腎臓病)について

いま日本に広がりつつあるCKDという腎臓の病気。ご存知でしょうか?

海上ビル診療所 加納 あゆみ

自覚症状が少ないため、気づかないまま進行してしまう慢性腎臓病(CKD)。
日本の成人のCKD患者数さんは1330万人(12.9%)と推計されます。成人の約8人に1人がこの病気にかかっているということになります。
CKDが進行すると、腎臓の機能が損なわれ人工透析や腎臓移植が必要になったり、心筋梗塞や脳卒中などの生命にかかわる病気につながることがあります。
腎炎のほか糖尿病、高血圧症、高脂血症など生活習慣病がCKDを引き起こします。
健康診断で、尿蛋白や尿潜血が陽性と判定された方、生活習慣病をお持ちの方は特に注意が必要です。
腎臓はものいわぬ臓器といわれます。自覚症状があまりないのが特徴です。
早期発見のため定期的に検査を受け、気になることがありましたら、どうぞご相談ください。

あなたの腎臓は大丈夫ですか?

CKDの予備群かどうかチェックしてみましょう。ひとつでもあてはまれば注意が必要です。

□ 高齢である
□ 家族に腎臓病の患者さんがいる
□ 健診で尿や腎臓の異常がある
□ コレステロールが高い
□ 血圧が高い
□ 血糖が高い
□ 尿酸が高い
□ 肥満
□ メタボリックシンドローム

腎臓の働き

腎臓はそら豆のような形をした大人のにぎりこぶし大の臓器です。腰のやや上に背骨をはさんで、左右1つずつあります。1個が150gほどの小さな臓器ですが、心臓から送り出される血液の20%以上が流れており、毎日200リットルもの血液をろ過し、主に次のような働きをしています。

(1)体内の老廃物や余分な水分を尿として排泄する。
(2)水・電解質のバランスをととのえ血圧を調節する。
(3)血液をつくるホルモンを分泌し、骨を強くするビタミンDを活性化する。

CKD(慢性腎臓病)とは?

(1)尿異常(蛋白尿)、画像、血液、病理で腎障害の存在が明らか
(2)糸球体ろ過量(GFR)<60mL/min/1.73㎡
(1)(2)のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する

糸球体ろ過量(GFR)は腎機能の指標です。1分間に腎臓の中の毛細血管である糸球体が血液をろ過する量のことです。
血清クレアチニン、年齢、性別から推算されます。

腎機能をチェックしましょう

自覚症状の乏しいCKDの早期発見に役立つのが、尿中のたんぱく質の濃度を調べる尿検査と、血液中のクレアチニンを調べる血液検査です。クレアチニンとは血液中の老廃物のひとつであり、通常であれば腎臓でろ過され、ほとんどが尿中に排出されます。しかし、腎機能が低下していると、尿中に排出されずに血液中に蓄積されます。この血液中のクレアチニンを「血清クレアチニン値」といいます。この血清クレアチニン値を元に、あなたの腎臓の働きをチェックしてみましょう。

「日本慢性腎臓病対策協議会」のホームページで自動的に換算できます

健康診断などで測定した血清クレアチニン値と、年齢、性別を入力してください。
http://j-ckdi.jp/ckd/check.html

尿検査の意義

尿検査は一般の健康診断で必ず行われる検査です。早期のCKDでは検尿だけが発見の手段となり、しかも簡便、安価、正確で、非常に有用です。

☆蛋白尿:尿中に排泄された蛋白質の量を調べます。健康なひとでも微量なたんぱく質は尿中に流出しています。腎臓に異常がおこると多量にもれ出て、検査で陽性になります。激しい運動のあとや、高熱の際に一過性に陽性になることもありますので、鑑別のため詳しい検査が必要になります。

☆血尿:腎臓や尿路に異常があると出血し、尿中に赤血球が排出されます。肉眼では確認できない顕微鏡的血尿の有無を調べるのが尿潜血検査です。男性に比較して女性に多くみられます。念のため血清クレアチニンを測定し腎臓の機能を調べ、超音波や尿細胞診検査により、悪性腫瘍や泌尿生殖器の炎症を否定しておく必要があります。

CKDの予防と治療

(1)生活習慣の改善
 肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣の改善を行いましょう。

【腎臓に負担をかけない食事】

☆ 減塩(1日6g小さじ1ぱい程度)
☆ 低蛋白(進行の度合いにより、蛋白制限を行います。)
☆ エネルギー量
(肥満や糖尿病がなければ、健常人と同程度でよく、低蛋白とエネルギー量のバランスをとるため、油脂類、砂糖なども適宜用います。)
☆ 水分
(尿の排泄障害がない場合は、健常者と同様に自然の褐感にまかせて摂取します。過剰摂取や極端な制限は有害です。)
☆ 適正飲酒
(エタノール量として、男性1日20~30ml日本酒1合程度、女性は10~20mlにしましょう。)
☆ 禁煙
☆ 運動
(過労をさけ、十分な睡眠と休養は重要ですが、安静にしていなければいけないわけではありません。血圧、尿蛋白量、腎機能などをみながら、運動量を調節していきます。)

(2)薬物療法

☆ 降圧療法
(血圧を下げ、腎臓を保護する作用のあるACE阻害薬やAII受容体拮抗薬、利尿薬、Ca拮抗薬などの降圧薬を内服します。降圧目標は130/80mmHg未満です。)
☆ 血糖値のコントロール
☆ 脂質異常症のコントロール
(目標はLDLコレステロール120mg/dl、可能であれば100mg/dl未満です。蛋白尿や微量アルブミン尿を軽減する効果があります。)
☆ 腎炎の薬
(原因が腎炎であった場合は、抗血小板薬、ステロイドなどが処方されます。)

CKDを見逃さないために

もともと高血圧や糖尿病などの病気をもっている人は、まずその治療に取り組みましょう。
また普段から自宅でも血圧を測って、気をつけてください。さらに病院で定期的に尿検査を受けることをお勧めします。日々の健康管理が大切です。どうぞお気軽にご相談ください。